- 番組名:「こちら絶滅映像社」
- 放送局:東海テレビ
- 放送日時:2019年1月6日 16時30分~
偶然見た番組だったが、久しぶりに楽しくためになるテレビに出会った。
冒頭から名古屋弁を調子よく喋る男の気ままな一人芝居に引き込まれた。佐藤二郎扮する映像会社の社長という設定であった。この役者調べると最近牛丼のCMなどで脚光を浴びている名古屋出身の俳優だというが、恥ずかしながら私は今回が初めてだった。番組は消えつつある絶滅危惧のモノを記者を派遣させて取材していこうというのである。
まずアンタッチャブル柴田が、映像社の指令の「赤い柴犬」を探し求める。恵那市岩村にその犬を発見。もともとは江戸時代から土着していた在来種で全身赤毛に近い茶色にちかい「美濃柴犬」という。さらに山県市の山奥に80歳の古老が種の保存に努める会の存在に突き止める。この保存会のお陰で、東海地方には飼い主が広まっている。番組は絶滅を防ぐため集団お見合いを企画したりして微笑ましい。さらに種の保存のために。岐阜大学で美濃柴犬の精子の冷凍保蔵などで未来を感じさせる。
後半は、弥冨の絶滅危惧「文鳥」を追求するために平野ノラが派遣される。昔は農閑期を利用した副業だった農家は最盛期200件程あったが、今や2件ほどしかないという。資料館に飼われてた白文鳥にたどり着き、昔は一羽1万円は稼げた花形の栄光を知る。現役農家の一軒が今も600羽ほど飼っているが、後継者がいないことを嘆く。幸い地元佐屋高校の女子校生が白文鳥のプロジェクトを組み育てているという。誰の手でも指を乗り移り、機嫌がいいと白いお餅みたいになる風情、香しい匂いなど徐々に白文鳥の良さが明らかになってくる。最後は全員で文鳥の青春ドラマを撮り終えるところで大題円。今回の2題とも絶滅危惧どころか、もっとアピールすれば素晴らしい復活劇が期待できるような素材だったと思う。テレビは基本弱者、庶民の立場にこそ立ちメディアの役割を発揮するのが使命でもある。この番組の良さは、適度な情報―絶滅危惧の新奇さ、笑いで包み込むようバライティー要素、まだ知らない世界へと誘うドキュメンタリーの要素がバランスよく絡み合い、一級のエンタテイメントだと感じた。佐藤二朗は、ナビゲーター役としても、この番組の各要素にうまく融合していたと思う。このナビゲーター佐藤二郎が、復活劇に加担するようなその後が見たくなる。ローカルレギュラーなのか単発なのか、分からないが、いずれにしても継続視聴したくなる素晴らしい番組だった。クレソンおじさん